年金に関する誤った情報が多すぎる

以下は、8月17日付けの記事です。

年金の受給開始が75歳になると現在の受給開始年齢65歳から10年間に収入がなくなってしまう。という内容です。

ここに大きな誤解があります。

政府が検討している年金受給75歳というのは、繰下げ受給を75歳まで伸ばそうというものです。

繰下げ受給とは、本来65歳から年金受給開始ですが、まだ年金の受給を必要としないなら、70歳まで受給開始を遅らせることができる、という制度です。しかも遅らせた場合は、年金受給額の増額になります。

70歳まで受給開始を遅らせたら、42%増えるのです。年間100万円の年金なら142万円になります。

現行のこの制度は最大で70歳までしか遅らせることができません。これを75歳まで伸ばそうと考えているのです。

65歳の受給開始を75歳に一律下げるわけではありません。

年金以外に収入がない場合は、65歳から受給開始できるのです。

それをこの記事は、誤った情報によって、今の政府がとんでもない改悪を検討しているかのように印象付ける内容にしています。

おそらく、この記事を書いた方は、本当に制度内容を誤解しているのでしょう。

仕方がないことですが、あまりにも無知極まりないと感じます。

こういう誤った情報に流されないように注意しましょう。

 

 

<8月17日付け記事抜粋>

政府が目論む「75歳年金受給開始」導入。そうなれば、定年の65歳から75歳までの10年間は収入がなくなることになる。介護が必要となった場合、家計は危機に晒される。淑徳大学教授の結城康博氏が危惧するのは、被介護者に「基礎疾患」があるケースだ。「痰の吸引やインスリン注射などの医療行為が必要な場合はヘルパーが対応できず、看護師を呼ぶケースが多い。看護師はヘルパーと比べて1時間あたり約6000円も費用が多くかかり、介護保険で賄える金額をオーバーすることがある」

自宅の老朽化などで大掛かりなリフォームをする場合も費用がかさむ。

「在宅介護のために住宅をリフォームする場合、家中すべてをバリアフリーにして玄関にリフトなどを設置すると、数百万円かかることもある。それでも妻を思う夫が大枚をはたき、結果的に家計が苦しくなることもある」(介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏)

頼みの綱である介護保険の認定を得られないケースも想定できる。「自治体によって介護認定の基準はまちまちで、場合によっては認定が取れない『非該当』になることもある。たとえば体に不自由があるのに認定調査員の前で元気に振るまってしまい、非該当になり、介護保険が使えず、自腹負担になったケースもある」(同前)

だが国は、苦しむ人々をさらに叩こうとする。

「国は介護保険の国民負担を増やす一方で、提供する公的サービスを縮小する方向です。今後、介護保険料が上がることも確実。年金の75歳受給が導入されて、無年金、無収入の時期に家族が要介護になれば、生活破綻の可能性が高まります。介護保険の1割負担すら払えず、生活保護を受給する世帯が増加する可能性があります」(介護に詳しいファイナンシャル・プランナーの新美昌也氏)