社員を休職させたい場合

最近多い相談の一つに、体調が悪い社員を休ませたいが、本人が休む気がない場合にどうしたらいいのか、というものがあります。

 

会社側としては、

・無理してケガや病気を悪化されても困る

・体調が万全でないため、労力も落ちミスも多い

・中途半端に仕事をされると却って迷惑

というもの。

一方の社員としては、

・仕事ができないほどではない

・休むと辞めさせられるのではないかと不安になる

・できない社員と評価されるのでは

・休むとみなに迷惑をかけてしまう

・休むと給与がないから生活できない

というもの。

 

お互いの意見が合致しないのです。

 

会社として休職命令を出したいのですが、「何を根拠に?」、「期間は?」、「どのような手続きをすれば?」とわからないため、相談されるのです。

 

まずは、就業規則をチェックします。

休職命令を出すことがあるという規定があるか否かです。

これがないと始まりません。でも意外にこの規定がない就業規則が多いのです。ネットなどから簡易な就業規則をダウンロードして作ったからでしょう。

こういった簡易な就業規則は、いざ問題が起きたときになんの役にも立ちません。返って会社としてマイナスになることもあります。就業規則はきちんと専門家に作ってもらいましょう。

 

で、規定がある場合、何を理由とするのかですが、まずは、主治医の診断書を参考にします。ただし、主治医は、患者本人の意思を尊重して、本人が意図する診断書を作成することが多いのです。ですから、「労働に問題なし」という診断書が出来上がることがあります。これを根拠に休職命令は出せません。

となると、産業医や会社が指定する医師の診断書です。この産業医や会社が指定する医師は、会社の業務内容を把握していますから、業務内容と本人の症状を考慮して診断書を作成します。ですから、こちらの診断書を重要視することができます。

 

ここで、「なんで産業医や会社が指定する医師の診断を受けないといけないのか」と社員が不満を言われることがないよう、「産業医または会社が指定する医師の診断を受けさせることがある」という規定を就業規則に盛り込む必要があります。

 

次に期間です。これも診断書を参考にすべきですが、診断書が「3か月」の休職が必要と書いてあるのに、「1か月」と短いものや「1年」と長すぎるのも問題です。診断書の期間かプラス1か月間程度が適当です。

 

そもそも休職とは、「籍を残して、会社を休み、元気になって戻ってきてほしい」という会社の思いがあるから出すものです。

この会社としての思いも一緒に添えながら、休職命令通知を文書で出しましょう。

 

もう少し突っ込んだ話を聞きたいという場合は、ここでは書けませんので、ご連絡をください。