労働トラブル事例紹介(配置転換)
実際にあった労働トラブルの事例を紹介します。
<経緯>
Aは、X社に課長として勤務していた。ある日、社長から、業務のミスが続いたことなどを理由に配置転換されることを口頭で伝えられた。
Aは、文書を求めたところ、会社の規程に基づく理由が書かれた配置転換の文書が通知された。
Aは、配置転換は不服であるとして社長と何度も交渉したが折合いがつかなかった。
そのため、あっせんを使用した。
あっせん委員は双方の言い分を聞いて解決案を提示する。
<Aの主張>
業務のミスがあったことは認める。ただし、配置転換先のB課は、肉体労働であり、体力的にも精神的にも納得できない。また、ほかの同僚たちと比べて特段成績が悪いとは思わない。今回の配置転換は不当な嫌がらせである。
<X社の主張>
Aがミスをするたびに注意をしたが、改善が見られないし自己弁護ばかりしている。責任者としての自覚がない。再発の危険を避けるため、配置転換を行うもので不当ではない。
<あっせん委員の判断と解決案>
X社の配置転換命令に不合理な点はないため、Aの主張は認められない。あっせん委員から会社に対して、ほかの部署への配置転換の可能性を確認すると、C課へ配置転換が可能である旨、回答があったため、B課に比べ肉体労働も少ないため、AにC課への配置転換を受け入れる可能性を確認、受け入れない場合は、あっせんをこれで打ち切る旨説明すると、Aは、受け入れると回答。
<私見>
配置転換が何でもかんでも不当扱いになるわけではない。合理的な理由があれば、問題ない。今回は、B課ではなくC課への異動で落ち着いたということは、会社側もB課だけしかないという主張は通らない。
感情的になると、解決案があるにも関わらず、それが見えてこない。結局泥沼化して辞めて終わり、賠償請求を受けたりして、最悪裁判沙汰にまで発展する。
労働トラブルは、当事者同士で解決することがベストだが、難しい場合は、遠慮なく専門家に相談するべきでしょう。
そのほうが返って早く、安く、小さいうちに解決します。